孤独死が起きた物件を買取してもらうには
2023.08.07
特殊清掃と不動産
賃貸物件を抱える大家さんにとって悩ましい問題の1つに「孤独死」があるのではないでしょうか?もちろん賃貸物件の貸主でなくとも、実家の売却を考えていた矢先に、住んでいる高齢の親がひっそり亡くなっていた……という状況も考えられるかもしれません。
この記事では孤独死の起こった物件を売るためのポイントについて解説していきます。
孤独死とは
孤独死とは、誰にも看取られることなく亡くなった状況を言います。
日本では1950年代以前は自宅で亡くなることが当たり前で、1950年以降は病院で亡くなることが一般的でした。しかし、現在では血縁や地縁の結び付きが薄れ、マンションなどの集合住宅では「隣に誰が住んでいるのかも知らない」状況が当たり前となりました。
その結果、「家族や友人・知人、地域の顔見知りの人などとの繋がりを持たない人が誰にも知られないままひっそりと亡くなっていた」という状況も容易に成立するようになってしまったというわけです。
孤独死の件数
では、孤独死は年間で何件発生しているのでしょうか?
これに対して日本には孤独死に関する全国規模の統計データがありません。
しかし累積的なデータは、一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会が発表していて、2015年4月〜2022年3月までの孤独死の件数は6,727件となっています。
調査期間が7年なので、1年当たりでは961件ということになりますが、こちらは一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会が把握している数なので、実際にはもっと多いことが予想されます。
孤独死のあったマンションや一軒家が事故物件になる場合
「孤独死」と聞くと連想ゲーム的に「事故物件」という単語を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実は、孤独死のあった物件の全部が全部事故物件となるわけではないんです。
まず事故物件とは、その物件に入居しようとする人物に対して、心理的な抵抗感や拒否感を生じさせるものを言います。しかし、法律上の明確な定義は存在しません。
つまり、孤独死のあったマンションや一軒家が事故物件になるかどうかは借りる側である入居予定者の判断次第というわけです。
そうは言っても、具体的な基準などがなければ借りるほうとしても判断にも迷いますよね。そこで事故物件と似た言葉である瑕疵(かし)物件という言葉をご紹介します。
瑕疵物件とは何らかの欠陥を抱えた物件のことを言います。
瑕疵とは「翡翠(ひすい)などの玉についた傷」のことで、不動産業界の業界用語では「欠陥」という意味に当たります。
ちなみに、物件に付く瑕疵は次の4つに大別できます。
・心理的瑕疵:心理的な理由によりその物件に対して抵抗感や拒否感が生じるもの
Ex. 過去にその物件内で
・殺人事件が起こった
・住人が死んでいた
などの場合
・物理的瑕疵:実際の建物にパッと見では分からない欠陥があったもの
Ex. 物件内の分かりにくいところが
・雨漏りしていた
・シロアリにやられていた
などの場合
・環境的瑕疵:その物件周辺に嫌いな人の多い施設がある場合
Ex. その物件の近くに……
・悪評の高い新興宗教の集会施設がある
・ヤクザの事務所がある
・墓地がある
など
・法律的瑕疵:現在の耐震基準などに適合しない物件である場合
Ex. 実家の耐震基準が1981年以前のものだった
など
人が亡くなっているという状況を考えると、事故物件=心理的瑕疵物件とするのが妥当性が高そうです。
そこで事故物件になるかならないかのボーダーラインですが、それは「亡くなった方の死因」にあります。例えば、下記の死因の場合は「基本的には事故物件とはみなされにくい」傾向にあります
事故物件にならない死因・老衰や病死などの自然死
・転落や転倒、誤嚥などによる不慮の事故死
これらの死因は、「死のうと思って死んだわけではない」ことから事故物件とはみなされにくいとされています。
それに対して、こちらが死因となっている場合は「事故物件とみなす」のが一般的なようです。
事故物件になる死因・他殺
・自殺
・孤独死
・火災による死亡
・死因不明の死
・自然死や事故死であっても、人知れず長期間放置されていたケース
故意の死や原因不明で死亡した場合には、事故物件とみなされるようです。
孤独死のあったマンションや一軒家を買取してもらう方法
では、「孤独死があったマンションや一軒家を売却したい」と思った場合、そうした物件は買い取ってもらえるのでしょうか?もちろん、事故物件であっても買い取りはしてもらえます。
事故物件を買い取ってもらう方法には下記の2通りがあります。
・仲介業者に間に入ってもらう
・事故物件を専門的に買い取っている不動産会社に買取してもらう
仲介業者に入ってもらう方法は、一般的な不動産売買と同じプロセスを踏むため、「孤独死ではあったが、事故物件とはみなされなかった場合」におすすめの方法となります。
(なお、「孤独死の事故物件」であっても、「売り出し価格を安くする」ことで仲介業者による買取に応じてもらえる場合があるそうです。)
そのため、少しでも高く売りたい場合におすすめの買取方法となります。
一方、事故物件を専門的に買い取っている不動産会社に買取してもらう方法は、仲介業者による買取がダメであった場合におすすめです。
なぜなら、専門業者であれば高確率で買い取ってもらえるからです。
また、「不動産売却に期限が設けられている」や「すぐに売って現金化させたい」という場合でも迅速な買取に応じてもらえることからおすすめとなります。
孤独死のあったマンションや一軒家はいくらで買い取ってもらえる?
孤独死の起きたマンションや一軒家を買い取ってもらえることが分かると次に気になるのは、「事故物件はいくらで買い取ってもらえるのか?」ですよね。
一般的に、事故物件の売却価格は相場の10%〜50%ほど安くなるとされています。
そして、事故物件が建っていた土地の価格は、相場の10%〜20%OFFくらいになると言われています。なお、過去に孤独死のあった土地は、孤独死が起きてから10年以上経っていれば、相場と同額で出しても構わないとされているようです。とはいえ、「事故物件があった」ことに対する告知義務は付いてくるので、そこだけは忘れないようにしてくださいね。
孤独死のあったマンションや一軒家を買取に出す前にしておくこと
最後に孤独死の起きたマンションや一軒家を買取に出す前に最低限しておくべきことを2つお伝えします。
孤独死の起きたマンションや一軒家を買取に出す前に最低限しておくべきこと・特殊清掃
・遺品整理
それぞれの理由を簡単に解説しておきますね。
特殊清掃をする理由は、「孤独死の痕跡を抹消するため」です。
警察の現場検証が済み、「片付けても構いませんよ」という許可をもらったらすぐにでも取り掛かりましょう。
(なお、警察の現場検証済前に特殊清掃に取り掛かると「証拠隠滅罪」などのあらぬ疑いをかけられる恐れがあるので、必ず現場検証が終わったあとに特殊清掃に取り掛かるようにしましょう。)
また、遺品整理をするのは、故人の私物が残った状況では物件を売却に出せないからです。
遺品の整理は基本的には遺族が行うものですが、「故人に身寄りがない」ケースや「遺族が女性ばかりで大きな家具などが手に余る」と言ったケースも想定されるでしょう。
こうした「遺族の手が借りられない、足りない場合」に頼りになるのが遺品整理業者や特殊清掃業者です。ですから、孤独死の遺品整理でお困りの場合もぜひご相談いただければと思います。
特殊清掃と遺品整理さえ片付いていれば、あとは不動産仲介業者や買取業者にマンションや一軒家を委ねるだけですよ!
まとめ
孤独死とは、誰にも看取られることなく亡くなった状況を言います。
孤独死が起こったマンションや一軒家は、「心理的瑕疵(しんりてきかし)」という事故物件に分類されますが、実際になるかどうかは「孤独死した方が発見されるまでに要した時間や発見時の状況に左右される」と言えます。
孤独死が起こり、心理的瑕疵が付いてしまった物件は、価格が相場の10%〜50%OFFになるものの「売ることはでき」ます。
とは言え、売りに出す前に特殊清掃と遺品整理だけはできる限り済ませておきましょう。
孤独死のあった物件は仲介業者や専門業者を通すことで買取をしてもらえます。
仲介業者は少しでも高く売りたい人がおすすめになり、専門業者はすぐにでも売りたい人におすすめとなりますよ。
要点を把握して、いざ孤独死の起きた物件を抱えてしまったとしても途方に暮れずに対応できると良いですね。
特殊物件再生協会にお任せください
特殊物件再生協会は、「事故物件」の再生を通じて、新しい価値を創造します。私たちは、特殊清掃などで物件の本来の価値を発見し、イメージアップと付加価値を提供することで、購入を希望する方々に魅力的な物件を提供することを使命としています。また、特殊清掃以外にも不動産買取、相続登記・遺品整理など様々なサービスを提供させていただき、ご遺族・オーナー様の負担を最小限に軽減したいと思っています。お気軽にご相談ください。